なぜ2023年(第31回)柔道整復師国家試験の合格率が過去最低を記録したのか?要因をまとめてみました。

毎年3月の第1日曜日に行われることが多い柔道整復師の国家試験。
この日のために学生たちは努力を重ね、合格を目指し勉強をしています。


合格発表はテストの約3週間後に行われ、正確な合否はそこで判明する流れですが2023年3月24日(金)の合格発表で衝撃を受けました。

合格率49.6%…



半分以上が不合格になるという事態になり驚いています。


今回はなぜ柔道整復師の国家試験の合格率が過去最低を記録したのかをまとめてみました。


今回の試験で不合格になった方や、来年または再来年に国家試験を受ける柔道整復学生の方に今回の出来事を理解していただき今後へ繋げていただきたいです。

目次

柔道整復師国家試験とは

1993(平成5年)から始まった、「柔道整復師」という国家資格を得るための試験のことを言います。

柔道整復師については↓をご参考に

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特徴として、3年制の専門学校または4年制の大学で柔道整復師過程を受講し、学校を卒業した際に国家試験受験資格を得られます。


教科数は11教科あり、その中から250問マークシート形式で出題されます。最初の50問は必修問題、後の200問は一般問題となっておりそれぞれで合格基準が違います。

合格基準

・必修問題合格率80%以上(50問中40問以上)
・一般問題合格率60%以上(200問中120問以上)

合格するには両方とも基準を満たさないといけません。どちらかが合格基準に達していても片方がダメだったら不合格になります。

柔道整復師国家試験については↓の記事で詳しく書いていますので是非。

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歴代の合格率

第1回の国家試験の合格率は90.3%と高い合格率を記録しました。その後、緩やかに合格率は下がっていき私が試験を受けた26回では58.4%と初めて60%を切るという事態が起こりました。

そんな中、31回では過去最低を10%程下回る合格率でした。なぜ、このような合格率になったのか?

過去最低の合格率が出た要因

最初に申しておきますが、今回色々調べて要因を出した中であくまで憶測のものもあるのでご了承下さい。

1. 柔道整復師が飽和状態なため

柔道整復師の数はどんどん増えており、2020年には75000人近くの柔道整復師が存在することが判明しました。 これは柔道整復師過程を学べる学校がどんどん増えてきているのが要因で国家試験を受ける分母も増えているからだと考えられます。

さらに柔道整復師が行う施術所(整骨院、接骨院など)は全国で50000箇所もあり、これはコンビニエンスストアが全国で約55000軒あるのと比べるとかなり多いことが分かります。

この状態で起こり得ることとして

・柔道整復師で食えていけない人が増える
・不正を働くものが出てくる

などがあります。

施術所は患者さんがあって初めて成り立ちます。しかし、患者さんは無限にいるわけではなく院同士で言い方が悪いですが取り合いする形になったしまいます。

そうすると患者さんが来なくなった院は経営が成り立たなくなり、閉院する人や悪質な場合だと保険の不正請求などする人も出てきます。


これ以上柔道整復師が増えすぎるとこのような事態が増えていくため、人数の調整も兼ねて難易度が上がっているのではないかと考えられます。



2.国家試験の情報漏洩

最大の要因がこれだと思います。

事件の概要

2022年10月に発覚し、柔道整復研修試験財団の理事と試験委員の2人が理事が講師する専門学校など分かっているだけでも4校に必修問題の情報を漏洩した事件である。(TBSニュースより引用)

4校とも2022年度の国家試験合格率は90%近い合格率でした。

厚生省が何からの形で漏洩に気づき発覚し、2人の裁判も行われ、判決待ちの状態です。

今回の事件が2022年度の試験のみで行われていたかどうかは分かりません。しかし、如実に合格率が低下していることからそれ以前の国家試験でも漏洩があった可能性は高いです。


なので今回29〜31回の学校別の合格率を調べてみました。(全120校)

29回

100%4校
90%〜5校
80%〜15校
70%〜18校
60%〜30校
60%以下48校

30回

100%2校
90%〜5校
80%〜9校
70%〜20校
60%〜20校
60%以下64校

31回

100%1校
90%〜0校
80%〜5校
70%〜13校
60%〜16校
60%以下85校

31回での変化は明らかであり、合格率の高い学校が少ないです。

年によって多少の差はあるとは言え、31回では80%以上の合格率の学校が6校と全体の5%しかありません。 前年と比べると80%以上が7%マイナスになっているのは違和感を覚えます。


更に驚く所は合格率60%未満の学校の割合です。30回では約半分でしたが、31回では約7割と激増しています。


何が言いたいかというと、報道にある漏洩した情報を得た学校は4校と言っていますが、全国的に漏洩していたのではないかということです。あくまで憶測ですがここまで合格率の割合が4校だけではここまで変わりません。



情報漏洩の件で合格率が下がっているのもありますが、この件で問題自体の難易度も上がっていたのではないかと思います。柔道整復師財団もこの一件があった中できちんと不正が無いと示すためには、合格率が低下していてるのが一番分かりやすいですしね。

3, 必修問題の難易度の高さ

国家試験で不合格になる方のほとんどが、必修問題が合格基準に達することができないことが多いです。
必修問題は50問中40問以上正解しないといけないですからね。


そんな必修問題ですが31回の国家試験は他の年に比べてみると難易度が高いです。


私もこの記事を書くにあたって31回の問題を解いてみましたが難しすぎました…
確かに5年ほどブランクはありますがそれにしても難しいです。


問題を見ていると、一般問題ならあってもおかしくないような難しさの問題が多い気はしました。
これは情報漏洩した件との関わりが深いと考察します。

今後の柔道整復師国家試験はどうなるのか

今後は情報漏洩前までの合格率には戻らないと考えており、高くても60%後半くらいに落ち着くでしょう。

その分、合格するのは柔道整復師が必要である教科をしっかり理解している人になるので質の良い柔道整復師が増えていくのではないかとも考えています。

最後に

この一件でまず感じたことは、自分も漏洩した情報を教えてもらい国家試験に合格してしまったんではないかという気持ちです。「6年前+不正があった学校ではない」 という観点から可能性は低いですが仮にこの件に関わっていたなら努力をバカにされた気持ちが強く、医療人として情けなく感じます。

今回の合格率の低下を受けて、不安になった柔道整復師を目指している学生たちは多くいると思います。
しかし、国家試験はきちんと勉強すれば合格はできるので腐らずに頑張って欲しいです。


いままで国家試験の合格率の高さを謳っていた学校が軒並み合格率を落としている状況なので学校サイドも教育カリキュラムや国家試験対策などに変化が出ていくかもしれません。

今後どのような形で変化していくか期待したいと思います。

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