柔道整復師になるためには国家試験に合格しなければなりません。そのため学生は試験に向けて勉強をしていきます。その中でこんな事思った人はいませんか?
「この教科勉強して意味あるの?」
特に試験前などの焦った状態の時にこの疑問を抱く人は多いと思いますが答えとしては
「教科によっては必要ないものもある」
やはり必要無いのもあるのか…
実際5年間接骨院で働いてみて、必要ない教科はあります。これは職場などで多少差はあると思いますが学生時代頑張って得た知識を活用できないのは少し悲しいです。
しかし、裏を返せば本当に必要な教科もあります。未だにその教科書を開く機会もあるほど大事な教科は学生時代に本気で勉強しておけばと後悔しています。
そこで今回は柔道整復師が現場に出た際に必要になる教科をお伝えします。もちろんどの教科もしっかり勉強して欲しいですがどの教科が将来的に必要で生きるかを理解していただきたいです。
今回のポイント
・接骨院や整形外科に就職した際に必要な教科(3教科)
・なぜその教科が必要なのか?
柔道整復師になるために勉強する教科は?
柔道整復師になるための国家試験では
・解剖学
・生理学
・運動学
・病理学概論
・衛生学、公衆衛生学
・リハビリテーション医学
・一般臨床医学
・外科学概論
・整形外科学
・柔道整復理論
・関係法規
の11教科を勉強しなければなりません。1つ1つの教科書も厚さがあり覚える量はかなり多いです。
国家試験については↓の記事を参考にしてください。
必要な教科① 柔道整復理論
柔道整復理論は名前の通り、柔道整復師にとっての最重要教科です。教科書の厚みも全11教科の中でも1番ですし、国家試験では全250問に対して80問が柔道整復理論となっており重要度が伺えます。
内容
柔道整復理論の内容は、柔道整復師の業務範囲である骨折、脱臼、軟部組織損傷についてです。
特に骨折、脱臼については細かく記されており
発生機序(どういう場面でケガをしてしまうか)
特徴(転位、変形、この動きをすると痛い)
整復方法
固定方法
後療法
後遺症
など骨折、脱臼してから治るまでに必要な知識が載ってます。
現場でこの知識が非常に大切です。来院された患者さんが骨折、脱臼しているかの有無を把握しないと治療ができませんし、特に骨折の場合は固定だけして治るケースと手術をしないと治らないケースがあるので見逃してしまうと大変なことになってしまいます。そのような出来事が実際に起きて噂が広がり、来院数減少により院を閉じるなんて事も珍しい話ではありません。
軟部組織損傷では特徴や後療法の他に検査方法が記されています。この検査方法がとても重要で、私も実際に上腕二頭筋長頭腱炎の検査でスピードテストや腱鞘炎でのフィンケルシュタインテストなど、どのような症状かの決め手として利用しています。
必要な教科② 解剖学
解剖学は、どの医療系資格でも勉強するほどの医療としての重要科目です。柔道整復師は体の知識を必要とするため他の医療資格より濃く勉強します。
国家試験でも全250問に対し30問と柔道整復師理論に次ぐ問題数となっています。
内容
解剖学は人体の構造を勉強する教科です。人体の骨から筋肉や靭帯、内蔵がどこにあるのかどんな作用があるのかが細かく記されています。特に筋肉については細かく記されており
筋肉名
起始・停止(筋肉が端がどこについているか)
筋作用(どういう動きの時に必要になるか)
支配神経
などが記載されており筋肉に対してのスペシャリストになる知識を得ることができます。
どこの筋肉を痛めているのかを確認する際に筋作用を理解しておいた方が良い治療ができます。触診で痛めている所を確認することもできますが、大柄の人や腕や脚など小さい筋肉がたくさんある場所では触診だけでは判断が難しいケースもあるからです。筋作用を理解していればその動きをして痛みが出ていると、この筋肉を痛めていると判断しやすくなります。
起始・停止を理解しておくと手技療法でのマッサージの際、筋肉を端から端まで緩めたいとき役に立ちます。また自己ケアでのストレッチを患者さんに教えることがありますが、起始・停止を理解しておけばわざわざストレッチの勉強しなくても大丈夫です。基本的に筋肉をストレッチ(伸ばす)する時は起始と停止の距離を遠ざける動きをすればいいだけなので起始・停止は覚えておきたいです。
ストレッチについては↓の記事を参考にしてください。
必要な教科③ 一般臨床医学
臨床とは医療においての現場または現場を重視する立場という意味があります。つまり一般臨床医学は現場で働く際に必要な教科ということです。
国家試験でも全250問に対し22問と約1割を占めています。
内容
一般臨床医学では病気などの内科的疾患を学ぶことができます。 内科的疾患だと柔道整復師は関係ないのでは無いかと考える人はいると思いますが実際大事になります。
実際に患者さんが来た時の症状が外因的要因か内因的要因かを見分けないといけません。
私の経験談ですが、腕の痛みで来院された患者さんがいました。腕を見てみると腫れていたのですが、筋肉の炎症による腫れとは違い若干むくみを含んだ腫れをしていたので、病院を促しリンパ炎と診断されました。このように、しっかり判別して患者さんに適切な対応ができなければいけません。
また内科的疾患だと症状によって命に関わるケースもあるので判別して適切な対応ができなければいけません。
実際に、足の指の関節が痛いと来院された患者さんが痛風だったり関節リウマチだった症例や、背部痛で来院された患者さんが帯状疱疹だった症例を目の当たりにしています。
最後に
今回は私が社会に出て必要と感じた教科を紹介させていただきました。
この記事を通して、国家試験を合格するために勉強している学生さんたちに向けて伝えたいことがあります。
「教科書の内容を語呂合わせなど今後に繋がらない覚え方をしてほしくない」
確かに覚える教科や量が多いので語呂など使い覚える人は沢山見てきました。しかし、上記で述べた3教科は特に理解して覚えてもらいたいです。語呂で覚えたことなんて時間が経てばすぐに忘れてしまいますし、せっかく勉強したのに必要な知識が頭に入っておらずまた教科書を開くのは悔しい気持ちになります。
国家試験に受かるために勉強をするのではなく、その先の患者さんと向き合う時のことを考え勉強してほしいです。全部の教科を理解するのが大変な人はせめて上記で述べた3教科だけでもいいので理解して勉強してください。先に現場に出ている先輩からのアドバイスです。