テレビでプロ野球のピッチャーが投げ終わったあとベンチで肩や肘に何かつけているのを見たことはありませんか? あれが「アイシング」です。
アイシングはスポーツしている人だけが行うものだと考えている人が多いですが、実はスポーツをしていなくても必要な場面は多々あります。
更にスポーツをしている人でも
「寒いからやりたくない」
「面倒くさいからやらなくていいか」
という理由からアイシングを疎かにしている人も多いです。
結論から申しますと、アイシングはとても大事なケアです。
このケアをするしないでスポーツしている人はもちろんですがスポーツしていない人でも差は発生します。
なので今回は「アイシング」について解説していきます。
今回のポイント
・アイシングはどういうときにすればいいのか?
・アイシングのやり方、注意点は?
アイシングとは?
アイシングを英語表記にすると「Icing」です。
これは「Ice」+「ing」をかけ合わせた言葉であり、意味として冷やすということです。
アイシングとは、痛めた所または気になる所を冷やすことを言います。
アイシングをする場面
アイシングをする場面は大きく2通りに別れます。
1,ケガをしたとき。
2、スポーツなど体を動かした後。
1,ケガをしたとき
基本的にケガをしたときにはアイシングをしたほうが良いです。しかし場合によってはアイシングが不必要なケースもあります。
アイシングが必要なケース
捻挫、肉離れなど明らかに痛めた瞬間がある。
明確に痛めた瞬間は無いが、痛いところに腫れや熱感を持っている。
アイシングが不必要なケース
痛めた所にシビレや力の入りづらさがある。
擦り傷や切り傷のように皮膚に損傷がある。
2,スポーツなど体を動かした後
体を動かした後のアイシングも効果的です。
気になる箇所だけ冷やすのも良いですが、全身運動系のスポーツをする人では氷風呂に体全体を入れてアイシングする人もいるそうです。
アイシングの効果は?
アイシングの効果はいくつか種類があり、場面によって異なります。
1,ケガをしたとき
・炎症の抑制
・痛みの緩和
・二次的障害の防止
炎症の抑制
ケガをしたときには、筋肉や血管などの細胞に損傷がおきます。損傷した細胞から浸出液や血液が漏れ出したときに炎症反応が起こります。
炎症反応の特徴が
・疼痛
・腫脹
・熱感
・発赤
・機能障害
となっており、炎症が起こっている限りケガの治りは遅くなるばかりです。
さらに、ケガしている場所に血液が送られると炎症(特に腫脹と熱感)はどんどん酷くなります。
アイシングをすることによって、血管の収縮が起こります。これは血管が寒いと感じ熱を体に閉じ込めようと作用するためです。血管が収縮すると血液の流れが減少します。
血液の流れが減少することにより炎症を抑える効果があります。
痛みの緩和
人が痛みを感じるときには神経が絡んでいます。
物理的刺激(温度、触圧)を感じるセンサーである感覚受容器で痛みを感知して脊髄→脳という順番で連絡し痛みとして感じます。
アイシングすることによって神経伝達を遅延させることができるため痛みの緩和が可能になります。
二次的障害の防止
ケガをして組織の損傷が起きることを一次的損傷といいます。その影響で正常な細胞に酸素共有が行かなくなり壊死してしまい損傷部位が広がってしまうことを二次的損傷といいます。
アイシングをすることによって代謝を低下させ二次的損傷を防ぐことができます。
2,スポーツなど体を動かした後
疲労軽減
アイシングをすると血流が良くなるため疲労が溜まりづらくなります。
メカニズムは
アイシングによる血管の収縮
↓
血管を通る血液は通り道が狭くなるため血流が悪くなる
↓
その後アイシングを辞めると血管の収縮は無くなる
↓
通り道が元に戻ったため血液は一気に流れる
となっております。
理屈としては最近流行っているサウナ(温冷交代浴)と似ています。
アイシングのやり方
アイシングだからただ冷やせばいいと考えている人は多いはず、ですが正しいやり方ではないと効果を得られない場合もあります。
アイシングに必要なもの
- 氷
- 水
- 氷嚢(無ければビニール袋、ジッパー付き保存袋)
- ラップ(無ければ細長いタオル)
手順
1,氷嚢に氷を入れる+水を少し入れる
氷の量はアイシングしたい所を覆える程度で大丈夫です。
水を少し入れる理由は、氷が少し溶け表面のゴツゴツ感が減りアイシング時のストレス軽減と共に、氷同士が密着するため冷却効率が上がります。
ワンポイントアドバイス
蓋をする際にしっかり空気を抜きましょう。理由は空気が無くなると氷同士の隙間を無くし冷却効果が上がるからです。
2,痛い所に氷嚢を当てる
痛い所に中心にして氷嚢を当てます。更にラップやタオルを使い氷嚢を固定していくのですがこの際に圧迫することを意識しましょう。圧迫すると腫脹の軽減と密着度が高まり冷却効果が上がります。
3,時間15~20分経ったら氷嚢を外す
ここを間違える人が多いです。
アイシングの時間は15~20分が適切だと言われています。短いと効果は無いですし、長いと関係ない正常な組織も冷えてしますので必ず時間を測りながら行いましょう。
よくある質問
Q,氷でアイシングするの大変だから保冷剤で代用していいの?
A,代用してはダメです
保冷剤は温度が−10℃まで下がるものがあります。それを直接皮膚に当てると凍傷を起こすリスクがあります。
タオルを間に挟めば凍傷は起きませんが今度は冷却効果が下がります。ですので、きちんと氷を使って行いましょう。
Q,指とか足先だとアイシングしづらい時の対処法は?
A,アイスバケツを使ってください
体の先の方(手関節、足関節)ではアイシングをつけるのは難しいです。アイスバケツとは氷水のことをいい、手の指ならコップに足周りならバケツに氷水を入れそこに冷やしたい箇所を入れてください。
かなり冷たいですが冷却効果もありおすすめします。
Q,アイシングはいつまでやればいいの?
A,基本痛みがある期間
痛みがある間はアイシングをしたほうがいいです。大事なのは回数です。
痛めてから72時間は炎症期と言われており炎症が強く出ている時期です。ですので炎症期にはアイシングを1時間以上間を開ければ問題ないので何回でもやって下さい。炎症期以外では1日2~3回、運動後など痛みの程度に合わせてしていきましょう。
最後に
アイシングについて理解できましたでしょうか?
ケガした場合、その後のケアでその先が大きく変わります。アイシングをするかしないかで競技復帰が時期も変わってきます。
普段治療する立場として、自己ケアを怠って大変なことになった人を沢山見てきました。そうはなってほしくないのでこの記事の知識を頭に入れていただけると幸いです。