腰痛で悩んでいる方は多いのではないでしょうか?2019年の厚生労働省が実施している国民生活基礎調査では、自分が抱えている症状の調査で男性では1位、女性では2位が腰痛という発表もありました。
しかし腰痛が出ていて整形外科で電気を当ててもらい湿布を処方されているだけの人や、何もせずにそのまま放置している人が多いですがそれでは治りません。
それは正しい対応ではないからです。
そこで今回は、腰痛について
・なぜ腰痛がでてしまうのか?
・腰痛が出たときの対処法は?
この2つを軸に解説させていただきます。
腰痛持ちで治療しているが痛みの変化のない方。
腰痛とは上手く付き合っていかないといけないと考えている方。
きちんとした知識を持ち症状改善へと進みましょう。
そもそも腰痛とは?
腰痛とは言葉の通り腰の痛みを意味しますが、定義があります。
体幹後面に存在し、第12肋骨と臀溝下溝の間にある。少なくとも1日以上継続する痛み。片側、または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合も、伴わない場合もある。
腰痛診療ガイド2019(改定第2版)
この定義を見て分かるように片側or両側の痛みや、放散痛の有無と書いているように腰痛は人によって症状が違います。何が言いたいかというと、腰痛にはいくつか種類があるということです。これが大事なポイントで、種類によって対応が変わってくるので自分がどの種類の腰痛か理解しておきましょう。
腰痛の種類
腰痛の種類をざっくり分けると2種類あります。
特異的腰痛(全体の15%) | 画像診断(レントゲンやMRI)、血液検査などで原因が特定できる腰痛 |
非特異的腰痛(全体の85%) | 原因が特定できない腰痛 |
驚くことに原因が分からない腰痛が全体のほとんどを占めています。原因が特定できないと対処法も分かりません。それによって沢山の人が腰痛で悩んでしまう事態になっているのです。
特異的腰痛
特異的腰痛は医師が色んな検査(レントゲン、MRIなど)を行い診断結果を出せる腰痛のことを言います。
特異的腰痛の中にも種類があるので説明します。
腰椎椎間板ヘルニア
上記の図のように腰椎の間には椎間板というゼリー状の物質があり、骨同士がぶつからないようなクッションの役割があります。その椎間板が飛び出してしまうことをヘルニアといいます。原因は腰への負担が積み重なったり、遺伝なども言われています。
飛び出した際に神経に触れてしまうことが多いので、下肢へのシビレが症状として出ます。
脊柱菅狭窄症
脊柱管とは神経が通る場所をいいますが、椎体の変形や神経周りの靭帯が肥厚したりなどで脊柱管が狭ばる事を言います。これらの症状は加齢によるものだと言われており、若い人ではあまり聞かない症状です。
特徴は、歩いていると辛くて歩けなくなるが少し休むと再び歩けるようになる間欠性跛行が見られます。
腰椎分離症
腰椎の後方部が疲労骨折して分離した状態を腰椎分離症といい、スポーツしている学生に多いのが特徴です。競技もジャンプや体を捻る動作が多いスポーツしている人に起こりやすいです。
腰椎分離症が悪化すると腰椎すべり症になり手術しないといけなくなるケースもあるので早めの対処が必要になります。
非特異的腰痛
非特異的とは原因が判明しないという意味であり、何故痛みが出ているか分からない腰痛のことを言います。
じゃあ治らないじゃん
と思った方はいると思いますが、落ち着いて下さい。
まず腰痛の検査で使用するのが
①レントゲン撮影
②MRI
の2つがメインでありこの検査で何が分かるかというと
①骨の異常
②筋肉、靭帯など軟部組織の損傷
となっています。つまり何が言いたいかと言いますと非特異的腰痛とは骨や軟部組織の損傷以外の要因で起きているということが分かります。
では何が原因で起きているのか?
非特異的腰痛の原因
非特異的腰痛はレントゲンやMRIなどの検査では分からないことが原因で起きている腰痛です。
では、上記の検査では分からないこととは何かと言いますと筋肉の硬さです。
筋肉の硬さは検査では判明しない+個人差があるため医者も「筋肉の硬さが原因です。」とは言いづらいものなのです。筋肉の硬さが強くなる原因は色々あります。
・気温低下による寒さ
・姿勢不良による継続的な筋活動による疲労
・スポーツなどをして筋肉を使い過ぎでの疲労
「この中だと、自分は姿勢不良が原因かもなぁ」
と思った方は多いはず。
そうなんです。実は非特異的腰痛のほとんどが姿勢不良によって引き起こされると言われています。姿勢不良とは正しくない姿勢の事を言い、スマホやパソコンの普及により近年増えてきています。
姿勢不良とは色んな姿勢がありますが、どんな姿勢が腰痛を引き起こすかと言いますとズバリ「反り腰」です。
反り腰とは言葉の通り、腰が反っている状態を言います。腰が正しいポジションにないため腰の筋肉に負担がかかります。その負担が積み重なった時、腰痛として出てきます。
反り腰の原因
では何故、反り腰になってしまうかと言いますと骨盤の傾きが関与しています。
骨盤とは体の中心にあり、上半身と下半身を繋ぐ大事な骨です。
上記の図のように骨盤の傾きには前後しかなく腰痛の原因になるのは前傾です。
骨盤が前傾すると反り腰の姿勢を強くしてしまいます。実際に立った状態で、骨盤を前に倒してみると分かりやすいです。お尻が突き出る形になり腰の反り具合が強くなるのが分かります。
骨盤の前傾 → 反り腰 → 腰への負担大 → 腰痛
だいぶ非特異的腰痛への答えが分かってきましたね。では、骨盤の前傾が起こる原因、対処法とは?
骨盤前傾の原因
骨盤の前傾を強めてしまうのは、筋肉のバランスが崩れてしまっているからです。
骨盤には沢山の筋肉が付着おり、その筋肉たちが機能しあって骨盤の安定性を保っています。といっても少し難しいので「テント」を例に説明します。
テントは広げただけでは使えません。周りの紐がバランスよく引っ張り合うことでテントが立ち上がり、使うことができます。これが正常な骨盤です。
しかし、どこかの紐の引っ張りが強いとどうなるでしょう?テントのバランスが崩れ引っ張りが強い方に傾いてしまいますよね?これが傾いた骨盤です。
骨盤には前傾に作用する筋肉と後傾に作用する筋肉があり、それぞれが上手くバランスを取り合っていれば問題ないのですが、前傾に作用する筋肉が硬くなり骨盤を前に引っ張ってしまうと骨盤が前傾します。
骨盤前傾の対処法
骨盤の前傾を改善するには、骨盤前傾に作用する筋肉を緩めてあげることが大事になります。
骨盤前傾に作用する筋肉
・腸腰筋
・大腿四頭筋
①腸腰筋
腸腰筋は、背骨から大腿骨まで繋がる大腰筋と骨盤の内側から大腿骨まで繋がる腸骨筋を合わせたものの名称です。この筋肉の作用は股関節を屈曲です。
従って腸腰筋を緩めるには股関節を伸展(後ろに伸ばす)するストレッチが効果的です。
このような姿勢を取り、後ろ足になっている方の腸腰筋をストレッチして緩めて下さい。
時間は1回30秒で1日3セットほど行えると良いですね。
②大腿四頭筋
大腿四頭筋は4つの太もも前の筋肉を総じた呼び方であり、唯一骨盤まで付着している大腿直筋は膝のお皿でもある膝蓋骨まで伸びています。この筋肉の作用は股関節の屈曲と膝関節の伸展です。
従って、大腿四頭筋を緩めるには股関節を伸展+膝関節を屈曲させるストレッチが効果的です。
このような姿勢を取り、太ももの前が伸びている感じがあれば大丈夫です。
時間は1回30秒で1日3セットほど行えると良いですね。
最後に
腰痛について理解できましたでしょうか?
腰痛で悩んでいる人は接骨院で働いていて凄く多いことを実感しており、諦めている人も多いのも知り驚きました。
症状を放置していると他の場所への負担がかかり、悪循環になるので何もしないというのは辞めましょう。
今回の対処法は意外と知られていないものなので、参考にしていただけると嬉しいです。