近年スポーツトレーナーは人気でもあり、需要も高いです。
昔はプロなどトップクラスの環境でしかトレーナーは見かけませんでしたが、最近では小中学生のスポーツチームでのトレーナー帯同が増えてきています。
理由としてコンディショニングやケガへの意識が高まったことが要因だと思われます。実際に私も小中学生のラグビーチームのトレーナーをしております。
そんな中アスレティックトレーナーという資格が注目されています。プロチームでトレーナー活動する際には必要な場合がある資格となっており、資格取得のための学校も増えてきておりそれに伴い志願者も年々増加しています。
「選手をサポートしたい」
「チームに貢献したい」
このような考えを持っている方にオススメの資格ですが、アスレティックトレーナーとは何か理解できていますか?これを理解できるともっとアスレティックトレーナーになりたく感じると思います。
そこで今回はアスレティックトレーナーについて解説させていただきます。
今回のポイント
・アスレチックトレーナーとはどんな仕事なのか?
・アスレチックトレーナーにはどうしたらなれるのか?
アスレティックトレーナーとは
まずはトレーナーについて説明していきます。トレーナーとは英語の「trainer」であり
競技者の練習を指示またはコンディションを整える人
という意味があります。従ってトレーナーとは競技者の技術面から身体面に携わる人の事を言います。
そんなトレーナーの中で、メディカルの分野に強みを持ったトレーナーをアスレティックトレーナーと言います。スポーツドクターやコーチと連携を取り、トレーニング系はもちろんコンディショニング系でのサポートをメインで行っていく大事な仕事です。
アスレティックトレーナーの歴史
1965年 東京オリンピックを機にトレーナーの大事さに気づき、スポーツトレーナーの養成を始める。
1977年 資格認定と指導体制の確立を目的に、日本体育協会公認スポーツ指導制度が創設される。
1987年 文部大臣事業認定制度(文部大臣がこのトレーナー養成という事業を認めました)が創設。
1994年 制度が一部改定され公認アスレティックトレーナーの認定事業の開始。
2005年 制度が一部改定され養成カリキュラムが大幅に見直された。
上記のようにトレーナーとはかなり前から存在しており、徐々に権威性も高めてきています。
アスレティックトレーナーの仕事内容
仕事内容は
- スポーツ外傷・障害の予防
- スポーツ現場における救急処置
- アスレチックリハビリテーション
- コンディショニング
- 検査、測定と評価
- 健康管理と組織運営
- 教育的指導
上記の7つに分けられ、どれか1つでも欠けてはいけない大事な項目となっています。
1,スポーツ外傷・障害の予防
スポーツでの1度の大きな外力でのケガをスポーツ外傷、スポーツでの小さい負担が積み重なってのケガをスポーツ障害と言います。それらを予防するのがアスレティックトレーナーとして大事な仕事です。
予防するためには
・選手の柔軟性や既往歴などから分かる身体的リスク
・気温や競技施設などから分かる環境的リスク、
・ストレスの徴候から分かる心因的リスク
から判断し、選手のケガから守ります。
2,スポーツ現場における救急処置
スポーツ現場では何が起こるか分かりません。気温が高い日での熱中症、コンタクトスポーツでの脳震盪など様々です。そのような際に迅速かつ的確な行動がトレーナーには求められます。判断によっては命に関わるケースもあるので、知識や行動力が大事になります。
3,アスレチックリハビリテーション
選手がケガをした場合に、ケガをする前の状態に戻し競技復帰させるのを目的に行うのがアスレチックリハビリテーションです。
中途半端な状態で競技復帰すると、再発や後遺症残存の可能性があるのでトレーニングなどの運動療法やアイシングなどの物理療法を施し、万全な状態で復帰できるようにするのが必要となってきます。
4,コンディショニング
コンディションとは日本語で「状態」を意味します。しかし、日本体育協会での意味が少し違っており
コンディション
「ピークパフォーマンスの発揮に必要なすべての要因」
コンディショニング
「ピークパフォーマンスの発揮に必要なすべての要因をある目的に向かい望ましい状況に整えること」
となっています。そのためコンディショニングの目的はパフォーマンス向上とケガの予防となり、トレーナーはそれを目指し動かなければいけません。
5,検査・測定と評価
選手の状態を把握するために検査・測定を行いその結果からどんな状態か評価します。
ケガをしていない状態ではどこの関節の可動域が狭くなっているか、どの筋に疲労が溜まっているかなどを検査・測定してケガの予防を行います。反対にケガをしている状態ではケガの具合を評価して、復帰できるプランを構築することができます。
アスレティックトレーナーが行う検査測定は
- 姿勢・身体アライメント・筋萎縮の観察
- 関節可動域検査
- 筋力・筋持久力検査
- 全身持久力検査
- 運動機能の敏捷性・協調性検査
- 身体組成の検査
があり、どの方法でも検査できるような知識やそれに伴うスポーツ動作やバイオメカニクスなどの理解必要である。
6,健康管理
③と④で述べたアスレチックリハビリテーションとコンディショニングと繋がりが深い仕事内容です。
生活習慣、食事、水分補給、体重管理などを管理して病気やケガの予防やコンディショニングの維持や向上に繋げます。
7,教育的指導
選手の体の管理を行うのがアスレティックトレーナーの役割ですが、1番体の管理をしなければいけないのは選手自身です。そこで選手に自己管理する知識と気持ちを教育するのもアスレティックトレーナーの大事な仕事になります。
アスレティックトレーナーになるためには?
アスレティックトレーナーになるには、アスレティックトレーナー認定試験に合格しなければなりません。試験を受ける方法として2種類あります。
1.JSPO(日本スポーツ協会)が行う養成講習会を受講する。
or
2.養成講習会と同じカリキュラムを行っている大学、専門学校を卒業する。
ほとんどの方が2の方法で試験受験資格を得ます。理由として大学、専門学校に入学するには条件などなく誰でも入れるからです。一方1の方法ではいくつかの条件があります。
条件
1.満20歳以上
2.JSPO加盟団体(都道府県体育・スポーツ協会、中央競技団体等)からの推薦
見た感じではそこまで大変な感じはいないのですが2の推薦を受ける条件が色々とあります。
- トレーナーでの活動を2年以上行っている。
- 現在も活動している
- スポーツ医学、科学に関するセミナー及び学会への参加歴
- トレーナーとしての熱意を感じられる
その他は過去の経歴などから判断して、推薦者を決める形になっているため難易度が高くなっています。
試験については↓の記事を参考にしてください。
アスレティックトレーナーに向いている人とは?
アスレティックトレーナーとして成功している人の共通点は、「選手及びチームに貢献したいという気持ちを強く持っている」です。やはり相手に尽くすことができ、選手及びチームの成長を一緒に喜べるような人は向いていると思います。
もう一つ挙げるとするならば、慕われる人です。選手とアスレティックトレーナーの関係性を保つ上でも慕われる人でないと、上手くいきません。慕われるには振る舞い方や技術や知識が大事になります。
最後に
日本は色んなスポーツが昔より強くなっており、国際大会で上位に入ることも珍しくありません。それはトレーナーが普及して、コンディショニングなどが上手にでき最大パフォーマンスを出せるようになったからだと思い、今後ますますトレーナーの需要は高まってくると考えています。
アスレティックトレーナーは仕事内容も多く大変な仕事です。なるまでに沢山勉強しなければいけませんし、合格率も低く挫折する人も見てきました。
しかし、やりがいはありスポーツに関わりたいと考えている人にはおすすめします。
選手をサポートする立場でスポーツ界を盛り上げていきましょう。